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HOME >> Topics 一覧 >> February, 2005 >> 15 (Tue)
◇武漢鋼鉄の方向性電磁、価格暴騰
  関係筋によれば、中国の武漢鋼鉄はここ2〜3ヶ月で方向性電磁鋼板価格を10,000元(1,209ドル)引き上げるという猛烈な値上げを行っており、この結果、日本の対中方向性電磁鋼板の輸出価格とトン1,000ドル近い差が生じたことから来期以降大幅な値上げなど何らかの対応が迫られる情勢となってきている。

  武漢鋼鉄の国内向け方向性電磁鋼板(CGO)価格は昨年の9月に100元引き上げ12,095元(日本C&F換算1,520ドル)、10月にはさらに300元上げて12,395元(同1,550ドル)とした。これが12月には2,500元引き上げ14,895元(同1,840ドル)、今年1月積みでは1,000元上げの15,895元(同1,960ドル)、さらに1月26日に発表した2月積みで3,000元上げの18,895元(同2,300ドル)に、また同日発表した3月積みではこれにさらに3,500元上乗せの22,395元(同2,710ドル)としている。商社筋の情報ではインターネットなどで販売されている同国の方向性電磁鋼板のスポット価格はさらに引き上げられ33,000〜35,000元へと一段と上昇の気配を示しているという。

  中国の方向性電磁鋼板価格が暴騰しているのはひとえに供給量が絶対的に少ないことが原因である。方向性電磁鋼板はこれまで世界の需要が年160万トンといわれ、供給側も最近進出した武漢鋼鉄とPOSCOをいれても世界で7〜8社しかなく寡占状態で中国では武漢1社しかなく独占して市場を形成している。方向性電磁鋼板は品質が安定しないことから生産性が悪くここ20年間でも赤字を計上していないのは日本の2社(新日本製鉄とJFEスチール)だけといわれているほどであり、設備を導入しても立ちあがるまで4〜5年は必要といわれていることから新規参入もままならない世界でもある。これに対して需要家側も多くは発電機、変圧器であるがこれも世界で5〜6社しかないという寡占状態。

  いわば寡占の睨み合いで安定した世界だった方向性電磁鋼板の市場が動いたのは中国のせい。同国は経済発展が急なためにエネルギー特に電力の供給が遅れている。このためにこのところ無認可の発電所をはじめ国家プロジェクトの発電所などの建設が目白押しとなってきている。これにつれ方向性電磁鋼板の需要も急増している。

  03年の方向性電磁鋼板の需要は29万トンといわれた。それが05年には45万トンにさらに06年には56万トンへと急増しそう。その兆候が今回の暴騰価格へと繋がっているものだ。

  武漢の方向性電磁鋼板の生産量は現在月10,000トン、年12万〜12万5,000トンに過ぎない。現在、増強を推進しており、06年には年18万トン、07年には同24万トン体制とする方向である。武漢のほか宝山鋼鉄が方向性電磁への進出を計画しているが、08年で年40,000トン、10年で同16万トンの計画という。

  これでは当分、自給化は無理であるが世界的にも中国以外設備増強がないために中国向けが増えるかは微妙なところで価格だけはまだまだ引き上げられるのは確実である。すでにロシアの方向性電磁鋼板メーカーのVISは価格を武漢並みでなければ引き受けないとしたところもある。

  こうした突然変異的に暴騰している方向性電磁鋼板について、頭を悩ましているのが日本ミルである。日本ミル各社は昨年秋、方向性電磁鋼板の価格改定に乗りだし従来1年契約だったのを半年契約に改め10〜11月にFOB1,800ドルと600〜700ドル値上げで契約を終了している。この時点では勿論日本ミル価格が武漢価格を大幅に上回っていた。しかし、武漢価格と1,000ドル近く差が開いたことからこのままではADの危険もあり3月から始まる4〜6月積みの対中方向性電磁鋼板(CGO)商談では1,000ドル値上げする方針。

  さらに問題は武漢のCGOの大幅な値上げでこれよりも一段と高級のハイビーレーザー、磁器制御などの方向性電磁鋼板価格をも大幅に引き上げねばならない情勢となってきているからだ。ベースとなるCGOとそれより高級な2品種の価格差はこれまでそれぞれ600〜700ドル差を保ってきたがこれらが一挙に同じレベルに並びかけてきており品種間の価格を再構築する必要にもせまられてきているからだ。
last modified : Fri 18 Feb, 2005 [10:08]
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