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◇新日鉄、マレーシア向けに鋼矢板1.6万トン受注
新日本製鉄はこのほどマレーシア国鉄向けに三井物産を窓口に鋼矢板16,000万トン受注した。一部を6月にも出荷し10月までの5ヶ月間で船積みする。1回の商談で15,000トン以上の鋼矢板を成約した例は日本では珍しく新日鉄としても過去最大級とみられる。

今回の商談はマレーシア国鉄が計画しているマレー半島西側を縦断する鉄道の複線化でレール敷設の土留め用に使用するもの。複線化は全国的に鉄道網の整備のために推進されるが、西海岸側ではまずイポー〜パダンベナール間330キロの建設に対し政府が許可したことからレール敷設に向けて鋼矢板などの商談が始まったもの。

まずフェーズ1として鋼矢板の使用量は30,000トンといわれ、このうち1万6千トンがマレーシアのデストリビューターが引き合いを出したことから三井を窓口に新日鉄が受注したもの。残る14,000トンはまだ不明であるが、引き合いはマレーシアに限らずシンガポールの問屋も寄せていることから住友金属工業、東京製鉄なども商談中かあるいは一部を受注しているものとみられる。マレーシアがこんご鉄道網整備に使用する鋼矢板は総量10万トン(当初は70,000トン)とみられ、今後さらに商談が活発化することが予想される。鉄道は最終的にはクアラルンプールまで延長され、鉄道の建設費は総額140億リンギ(5,000億円)といわれる。

東南アジア地域では通常土留めにはコンクリートが使用されてきた。しかし、コンクリに使う砂が不足か枯渇に向かっている。供給ソースのインドネシアが砂の輸出を禁止したのも大きい。インドネシアが砂の輸出を禁止したのは海にしろ河川にしても砂を掘ることによって環境が破壊されるためにこれをを防ぐための措置である。同様に砂の移動(輸出など)を禁止する動きがあるのは中近東だ。このため、中近東地域でも土留めに使用するパイルは従来のコンクリートから鋼製に切り替える方向にある。もっとも鋼矢板よりもH形パイルを好んでいるといわれる。

いずれにせよ、環境保護のために従来のコンクリートを止め,鋼製を使用する方向となれば、今後東南アジアや中近東に限らず中国などでも鋼矢板需要が大幅に増加することになる。鋼矢板市場はアルセロール・ミッタルが支配しているが、欧州地域の鋼矢板需要が堅調なためにアジアまで乗り出すことができないでいる。しかし、同社は近く第3形鋼ミルを建設するといわれる。そうなると、アジアへの進出も考えられる。アジアでの日欧の鋼矢板競争が近く展開されることが予想される。

なお、レールの敷設は2009年となっており、近くレール商談が始まる見通しである。レール使用量は96,000トンであるが、所謂生レールが主体である。このため、商談には中国、韓国ミルなども参加するとみられ、日本が受注できるかは極めて微妙である。
last modified : Tue 03 Jul, 2007 [10:18]
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