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◇新日鉄の来期積み厚板、造船用含め15万円で成約進む
新日本製鉄の来期(10〜12月)期積み厚板商談がFOB15万円での成約が進んでいる。同社は来期積みで韓国、中国の造船それに建機向けにFOB15万円を提示し、今週前半までに造船を含め幾つかの顧客と妥結に至ったとしている。合意した企業名は個別契約のために明らかすることはできないと拒否している。

代表交渉の意味合いを持つ現代重工業との折衝は両社の提示価格に大きな開きがあるために纏まるにはまだ相当の時間を要するようだ。だが、新日鉄はすでに15万円での成約が幾つか実現しているだけに現代重だけに譲歩することはできず、このため交渉に時間がかかっても「実が熟す」まで待つ姿勢で早急に商談をまとめることはしない様子を示している。

新日鉄のFOB15万円というオファーは今期の中国の造船向けに比べ3.5万円、韓国のそれとは5.5万円それぞれアップするものである。厚板がタイトとはいえ大幅な値上げのために難航するのは必至とみられていた。
それが予想以上に早く妥結するケースがでてきたのは円安環境となったことがある。FOB15万円をドル換算(19日、1ドル=110円)すると同1,360ドルである。すでにエネルギー用厚板(UO鋼管用)がロシアなどとはドル建てでFOB1,700〜1,800ドルで値決めが成立している。これからみれば造船、建機向けは400〜500ドル低いものとなる。また、1,300ドル台の厚板価格はC&Fながら中国の韓国向けで成立したとも伝えられている。こうした環境から造船や建機など幾つかの企業が15万円水準を理解し合意したものとみられる。

また、新日鉄の韓国向け造船用厚板価格はアジアの厚板価格をリードしてきた。それだけに韓国の造船各社は5.5万円もの値上げを認めると中国ミルの大幅な値上げを誘いさらには自国のPOSCOや東国製鋼の厚板価格を引き上げる要因になると恐れている。だが、実際はそれほど新日鉄価格がインパクトを持つものでは無くなっている。

韓国の造船用厚板の需要は年間900万トンである。それをPOSCOが35%、東国製鋼が20%、中国産が25%、そして日本が20%のシェアとなっている。POSCOの国内向け厚板価格はトン92万ウオンで円換算では97,000円だ。日本の高炉の国内向け造船用厚板価格は大幅に値上げして現在95,000円で日・韓とも国内向けは歩調を揃えており、輸出向けの厚板価格とは連動していない。また、東国の厚板価格は素材のスラブ価格に連動するものでこれまでもPOSCOや新日鉄の価格にあわせたものとはなっていない。来期ではスラブの動きはまだみられないが、現状では値下がりするものとみられている。そうなると、東国は値上げ理由がなく新日鉄が値上げしても追随する必要もなく、来期では据え置くとの観測が有力だ。

中国ミルの場合、現在、一時的とみられるがオファーを100ドル程度引き下げている。それでも国内向け価格に比べれば輸出向けの方がはるかに利益を生み出すものとなっている。国内で捌くよりも輸出向けを増やす方が得策であり、価格を引き上げ量を落とすよりも値を多少下げても量を拡大することを選択している。従って、新日鉄の値上げに追随して輸出向けを値上げするよりも多少の値下げをすることで量を増やすことを志向するはずだ。その点では新日鉄の15万円は中国ミルに影響を与えることはないといえる。

いずれにせよ、当初FOB15万円というオファーは相当インパクトを与えた。しかし、交渉が決着し始めればそれほどの値上げとはいえないものとなっており、このまま現代重を除き順調に成約が進むことが予想される。
last modified : Mon 25 Aug, 2008 [11:09]
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