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◇2021年4月15日の合金鉄輸入市況動向
=合金鉄価格のジリ安続く
中国国内ではフェロシリコンやシリコマンガン、フェロクロムと言った生産量の多い合金鉄のジリ安推移に歯止めが掛からない状態となっている。主産地での生産制限が緩和されたことや、鉄鋼製品の一部で輸出時増値税還付が撤廃や引き下げとなったことが、1-2月に購入された先物の清算時期と重なったためだ。この状況は短期間での解消が難しいと見られており、値下げトレンドはしばらく継続する可能性が大きい。

2021年4月15日の合金鉄の輸入市況動向は以下の通り。

◇金属シリコン=中国国内の金属シリコン価格は3月末近くになって下落を始め、ジリ安推移となった。4月15日現在、中国国内の中心価格は553グレードがトン当たり11,900-12,100元(3月末比800元安)、441グレードは13,100-13,200元(同600元安)、3303グレードは13,900-14,000元(同300-400元安)、2202グレードは15,500-15,600元(同200-300元安)と軒並み下落している。

一方、輸出向けは553と441グレードが3月末に比べて120ドル安、3303グレードは同70ドル安、2202グレードは同40-60ドル安となった。

市場関係者は価格続落の理由として、高値修正による下落や、今後の供給増加を期待した先安感、海外需要家の購入量減少などを挙げている。また欧州連合(EU)が12日、”平板に圧延されたアルミニウム製品”に暫定のアンチダンピング税(19.3-46.7%、13日から実施)を賦課したことで、今後中国市場の一時的な混乱や価格の続落が懸念される。

日本国内のアルミ需要は引き続き堅調だが、中国国内の価格変動により成約価格は全体的に下落した。足下の成約価格は3月末(4-5月積み)に比べ100-110ドル安となっている。

◇フェロシリコン=中国国内のフェロシリコンは、流通在庫が潤沢で、硅素72%品を中心に値下がりが続いている。市場関係者は値下がりの理由として、(1)内蒙古自治区(国内生産1位)の一部地区で電力制限や生産規制が緩和されたこと、(2)寧夏自治区(同2位)での生産回復、(3)甘粛省など他地域での増産、(4)1-2月に購入された先物の利益確定売り――などを挙げている。硅素75%品については72%品の値下がりで連れ安となっている部分も大きい。ただ、生産者自身は強気オファーを崩さないケースが多く、安値品は先物取引から出庫された物が多い。またこの先物も投げ売りはせず、利益確保の点からFOB1,300ドル以下などの安値品が見られない様子だ。

日本国内では中国国内での値下がりが影響し、前月末に続き成約価格は全体的に下落した。足下の成約価格は3月末に比べてトン当たり60-70ドル下落している。

中国産のフェロシリコン(硅素75%品)は3月末に比べ60-70ドル安となった。

ロシア産フェロシリコンはスポット市場向けの現物が依然としてタイトだが、5月積みの成約価格は前回(5月積み)から70ドル安になった。

マレーシアでのフェロシリコン生産は大きな変化無く継続している。現在のオファーは6月積みで、日本向けの成約価格は前回(5月積み)に比べて40ドル安となっている。

◇シリコマンガン=4月12日、エラメット・コミログは中国向け5月積みマンガン鉱石の価格を引き下げて提示した。中国国内でシリコマンガンの価格と輸入マンガン鉱石の小売価格がジリ安推移であることに加え、輸入鉱石の港頭在庫量が690万トン前後と高水準なためだ。中国国内のシリコンマンガン価格は3月後半から急速に下落を続けている。市場関係者は価格続落の理由として、(1)中国最大のシリコマンガン生産地である内蒙古自治区での生産制限が緩和されたこと、(2)高値を好感した他の生産地が増産したこと、(3)中国の電炉ミルが減産で原材料の購入意欲を失ったこと、(4)1-2月に買われた先物が清算時期を迎え換金売りされたこと――などを挙げている。足下では国内産の余剰感が強いことに加え、価格高騰時に成約した海外産のシリコマンガンが入着して過剰感が強い。足下で内蒙古産の6517品はトン当たり6,700-6,800元と、3月末に比べ200元安になっている。日本向けはオファーがあったものの成約は無かった。

インドでは生産者と地域ごとの価格差が大きく、上下の幅が大きく広がっている。インドではCOVID-19の感染拡大により首都ムンバイのあるマハラシュトラ州が4月4日から30日までロックダウンを実施、オフィスの閉鎖や週末や夜間の外出禁止が行われている。このため、今後の出荷難を加味してシリコマンガンのオファー価格を引き上げる生産者がいる一方、海外マンガン鉱山による鉱石価格の引き下げなどの先安感から売り抜けを急ぐ者もいて、4月前半の輸出市場はやや混乱状態になった。

マレーシア産のシリコマンガンについては、OMサラワクとパータマ・フェロアロイズが生産しており、その成約価格はインド産よりもやや高くなっている。

日本国内ではスポット物の需要が堅調ではあるが需要家からの値下げ圧力も強い。足下の成約価格は3月末に比べ60-110ドル安になっている。

◇高炭素フェロクロム(チャージ・クロム含む)=3月下旬に4-6月期の長期契約が大幅な値上がりで決着したが、ステンレスなど特殊鋼の需要回復に鈍化の懸念が浮上する中、ステンレス鋼ミルの多くは製品価格への転嫁を不安視している。日本向け高炭素フェロクロムのスポット物は依然として取引の無い状態が続いた。

中国国内では3月下旬に価格が一時下げ止まったものの、4月に入って再び下落を始めた。市場関係者は値下がりの理由として、(1)内蒙古(国内生産1位)で操業制限がやや緩和されたこと、(2)他の生産地域による増産で供給量が増加したこと、(3)ステンレス鋼ミルが400系(Cr系)を増産し、300系(Ni系)が減産になったこと、(4)1-2月に買われた先物が清算時期を迎え、利益確定の売りが発生していること――などを挙げている。ただ、中国国内のステンレス鋼材価格は、増産した400系が値下がりし、300系は値上がりを見せているため、フェロクロム価格も再び下げ止まる可能性がある。

◇低炭素フェロクロム=4-6月期の長期契約(レギュラー)が決着したばかりであることに加え、中国品が値下がりしているため、足下のスポット価格はポンド当たり235-237セントになった。

中国国内の低炭素フェロクロム価格は3月後半に下落し、4月前半もジリ安推移だった。足下の価格は3月末に比べ2.2-3.0%安になっている。

◇モリブデン=LMEのモリブデン価格(Platts)は下落基調で、4月14日の1ヵ月先物は11.09ドル/lbと、3月末に比べ5.6%安、3ヵ月先物は11.05ドル/lbで4月上旬に上向いたが、反落して3月末と同水準になっている。1ヵ月先物より3ヵ月先物の方が安いバックワデーションの状態が続いている。

欧州市場の現物価格は4月に入って上伸基調で、足下の酸化モリブデン価格は3月末に比べ2.3-2.8%上伸した。3月末の安値で値頃感が出たことや、欧米の消費回復で値上がりした様子だ。

中国国内のフェロモリブデン価格も4月以降は上伸している。足下の価格は3月末に比べ2.7%前後上伸した状態にある。

◇フェロバナジウム=中国国内のフェロバナジウム価格は3月後半に下落したが、その後は下げ止まり、足下の価格は3月末に比べ横ばいとなっている。中国政府は4月10日から輸出時の増値税還付率(13%)について、熱間圧延鋼帯(熱延コイル)や鉄筋棒の頒布率を撤廃し、冷延鋼板や亜鉛めっき鋼板の還付率を4%に引き下げた。このため電炉ミルの稼働率が低下し、需要が弱まったフェロバナジウムも値動きが止まった形になっている。

欧州市場のフェロバナジウム価格は3月第2週に下落を始め、第4週には下落の勢いを増したが、4月に入って上向いた。足下の価格は3月末に比べ1.6%上伸した状態にある。一時は減退の予想もあった欧州の鉄鋼生産が堅調であるため、価格が持ち直したと市場関係者は見ている。

日本国内でも鉄鋼ミルの生産は堅調でフェロバナジウムの消費量は底堅く。足下の価格は3月末に比べ0.25-0.70ドル高となっている。

◇金属マンガン=中国の電解金属マンガン価格は3月後半に入って再び急騰し、月末に上止まっていたが、4月中旬になって反落を始めた。足下で主産地の価格はトン当たり16,300-16,400元と3月末に比べ400-500元安となっている。電解金属マンガンの大手生産者達が生産調整を継続することや、合弁企業を設立して市場の余剰製品を回収する方針などが報じられ、価格は安定するかに見えたものの、売り抜けを狙う生産者や商社の存在が足を引っ張る形となった。輸出向けも足下の価格(FOB)は2,540-2,560ドルと3月末に比べ60-70ドル安になっており、国内向けと同じくらい値下がりしている。

日本国内では需要家が金属マンガンを買い増す動きも一巡し、中国国内の値下がりや安値品の発生、高値修正安が影響して、足下の成約価格は大幅に下落した。3月末に比べ100-350ドル安となっている。
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( T.斉藤 )
last modified : Mon 10 May, 2021 [12:20]
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