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◇2021年5月31日の合金鉄輸入市況動向
=合金鉄供給不安が急速に高まる
先週、マレーシアのOMサラワクがCOVID-19感染により操業停止となった件は合金鉄業界に少なからぬ衝撃を与えた。合金鉄最大の生産国である中国で、昨年10月から供給不安が続き、フェロシリコンやシリコマンガン価格のジリ高が続いていた状況下で、マレーシアでは4月上旬にサクラ・フェロアロイズがトランスの故障で1炉操業となったこと、インドがCOVID-19感染拡大によりロックダウンしたことに続いて、OMサラワクが期間未定の操業停止となったためだ。OMサラワクのフェロシリコンとシリコマンガンはアジア圏への供給が多かったため、日本、韓国、台湾の供給不安は急速に高まっており、合金鉄生産者のオファー止めや、先高期待の先物買いなどが重なって価格は大幅に上伸している。

2021年5月31日の合金鉄の輸入市況動向は以下の通り。

◇金属シリコン=中国国内の金属シリコン価格は5月後半に入って上伸したが、下旬には上げ止まり、小康状態が続いている。31日現在、中国国内の中心価格は553グレードがトン当たり12,200-12,300元で4月末に比べ300元高となった。一方、輸出向けは553が4月末に比べ150-170ドル高と大きく値上がりしている。市場関係者は、南方地域での増産期待が価格を上値重いものにしたと見ている。

日本国内のアルミ需要は引き続き堅調で、中国国内の価格上伸により553グレードの成約価格も続伸した。足下の成約価格は4月末(5-6月積み)に比べ150-170ドル高となっている。

◇フェロシリコン=マレーシアのOMサラワクが操業停止になったことで、フェロシリコンの供給不安は急速に拡大した。生産者やトレーダーの多くは様子見のためオファー止めしており、先週末に予定されていた韓国大手鉄鋼ミルのスポット入札では締め切りまでに応札が無く、締め切りが延長される事態も起きている。ただ、市場在庫が払底しているわけではなく、高額ならば確保も可能とされている点は少なからず救いと言える。これまで”西高東低”とも言われ、欧米よりも安価だったアジア圏のフェロシリコン価格がどこまで上伸するか注目されている。

先週、中国では寧夏自治区(国内生産2位)が省エネを理由にした操業制限に踏み込むと噂されたが、5月31日時点で発表はまだない様子だ。また、国内鉄鋼ミルによる6月分の購入が今週から始まる見通しのため、生産者もトレーダーも様子見でやや薄商いの状態にある。中国の価格情報サイトは、国内向け硅素72%品が前月末に比べ9.0%高、75%品が同13.5%高と伝えている。フェロシリコン最大手のオルドスが72%品増産のため75%品を減産しているとも聞く。

今回のOMサラワク生産停止で、日本国内のマレーシア産フェロシリコンへの依存度が高かったことを実感している需要家は多い。中国の減産やロシアの欧米向け偏重などアジア圏へのフェロシリコン供給が弱くなっていたことに加え、決算期明けで商社も余剰の手持ち在庫が少ないところへのトラブルだったため、日本国内のフェロシリコン価格は大きく上伸した。足下の成約価格は4月末に比べてトン当たり310-360ドル高になっている。

中国産のフェロシリコン(硅素75%品)の価格は大幅に上伸し、4月末に比べ340-360ドル高となった。

ロシア産フェロシリコンは前述の通り、欧州市場向けが好調で日本向けの余剰も少なく、提示価格は引き上げられた。8月積みの成約価格は前回(6-7月積み)から110ドル高になっている。

マレーシアでのフェロシリコン生産は、OMサラワクが操業を一時停止したことで大幅な減産となる見通しだ。操業再開の時期については今後の発表を待つことになる。工場全体の操業停止により出荷も一時停止しているが、8月積みのオファーは出ている様子だ。

◇シリコマンガン=中国向けマンガン鉱石については、5月上旬にSouth32とエラメットコミログが6月積みを値下げした一方で、南アフリカのTshipiは値上げした。中国国内の港頭在庫量が減少傾向にあることや、シリコマンガン価格の上伸、輸入マンガン鉱石の小売価格上伸が追い風になった様子で、市場には”他社も7月積みは値上げする”との予想がある。

中国国内のシリコンマンガン価格は4月後半から上伸を始め、5月下旬に入って上げ止まった。月末には小幅な下落も見られる。市場関係者は価格が上げ止まった理由として、(1)海外の大手マンガン鉱山が6月積み鉱石を値下げしたこと、(2)鉄鋼ミルでフェロシリコン消費が増加したため、需要の一部がフェロマンガンにシフトしたこと、(3)南方地域での生産量増加、(4)投機筋による先物買いが一巡し、一部が売りに転じたこと、(5)インドの供給量減少が予想より少なかったこと――を挙げている。足下で内蒙古産の6517品はトン当たり7,100-7,200元と、4月末に比べ200元高になっている。日本向けに複数の成約がありCIF日本ではインド品よりやや高値となっている。(輸入後2.5%の輸入税が賦課される)

インドではCOVID-19の感染爆発に収束が見られず、ロックダウンの解除にも目処がつかない。ただ、輸出ペースはロックダウン前と大して変わっていないため、アジア圏においてシリコマンガンの供給タイト感は強くなく、価格は上伸しているが小幅な上げにとどまっている。

マレーシア産のシリコマンガンについては、OMサラワクとパータマ・フェロアロイズが生産しているが、前述の通りOMサラワクが28日から生産活動を一時休止し、出荷も遅延を発表している。パータマ・フェロアロイズでは、より高値で売れる米国向け出荷に力を入れており、日本向けにオファーは無かった。

日本国内の需要は堅調だが供給のタイト感は水面下で収まっており、鉄鋼ミルもパニック的な買いに出る様子は見られない。しかし、生産国での値上がりを受けてジリ高推移であり、足下の成約価格は4月末に比べ50-100ドル高になっている。

◇高炭素フェロクロム(チャージ・クロム含む)=日本向け高炭素フェロクロムのスポット物は依然として取引の無い状態が続いている。7-9月期の長期契約交渉は6月中旬頃に始まる見通しで、市場関係者の間では”値下げになる”との予想が支配的になりつつある。

中国国内の高炭素フェロクロム価格は3月下旬から5月前半まで下落基調が続いたが、5月下旬には上向いた。中国政府は一部のステンレス鋼製品について輸出時の増値税還付を撤廃し、高炭素フェロクロムの輸出税率を20%に引き上げた(ともに5月1日から実施)。このため市場には、”ステンレス鋼が減産になる”“フェロクロムの価格は下る”との予想もあったが、ステンレス鋼に大きな減産は見られず、原材料のフェロクロム価格もトン当たり7,500-8,000元の範囲で上下している。

続きは本紙「日刊 原料・鉄鋼貿易版」に掲載。
last modified : Thu 17 Jun, 2021 [13:01]
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