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◇2021年6月15日の合金鉄輸入市況動向
=FeSi供給不安の長期化懸念、FeMo価格高騰
6月に入って2週間でフェロシリコンやフェロモリブデンの価格は更に高騰している。どちらも堅調な需要に対して供給量の減少が要因となっている。他の合金鉄価格も全体的に上伸しており、中国からの供給量減少を理由に挙げる市場関係者が多い。

2021年6月15日の合金鉄の輸入市況動向は以下の通り。

◇金属シリコン=中国国内の金属シリコン価格は5月下旬に一旦上げ止まり、6月に入ってグレードごとに動向が分かれた。5月末に比べ553グレードはトン当たり500元安と値下がりし、441、3303、2202グレードは小幅に値上がりしている。中国南方地域では、期待されていた安価な豊水期電力料金の適用が遅れており、電力供給の制限からアルミ二次合金の減産が始まった。このため553グレードの需要が急速に落ち込んでいる。

日本国内のアルミ需要は引き続き堅調で、中国国内の価格下落により553グレードの成約価格も下落した。足下の成約価格は5月末(6-7月積み)に比べ50-70ドル安となっている。

◇フェロシリコン=マレーシアのOMサラワクは操業停止が継続しており15日現在も再開の目処が立っていない。また、中国では主要産地(内蒙古自治区と寧夏自治区)での操業制限により供給量の更なる減少が危惧されており、アジア市場の価格上伸は勢いを増している。先週、日本と韓国の大手鉄鋼ミルがスポット入札を行ったが、参加できた商社は呼びかけの半数に満たなかったとも言われ、商社の多くが手持ち在庫や契約残の払底に陥っている様子だ。また、中国が5月1日に輸出税の暫定税率を引き上げたことを機に、契約書へ”税率の変更があった場合、価格は別途協議する”の一文を加えることが常態化している。

中国国内では先週、中国の鉄鋼ミルによる6月分の入札が本格化したことに加え、寧夏自治区(国内生産2位)で石嘴山市と中衛市が相次いで操業制限を発表したため、市場のタイト感が一気に強まった。また、内蒙古自治区の複数の都市で消費電力の制限超過が報告され、生産制限の強化が予想されている。そのため、フェロシリコンは硅素75%品も72%品も価格が大幅に上伸した。しかし、先週末に中国政府が投機向け融資の制限を行ったことで、先物買いが沈静化。一部では利益確定売りも発生して小幅に反落した様子だ。

今回、OMサラワクの操業停止が長期化していることで、日本国内の鉄鋼ミルは現物の確保に苦戦している。入札をしても購入予定量の半分ほどしか確保できず、数合わせに硅素72%品を購入する需要家の姿も見られる。商品の確保ができるなら、商社の言い値で購入する需要家も多い。日本国内のフェロシリコン価格は5月末に比べてトン当たり100-200ドル高になっている。

中国産のフェロシリコン(硅素75%品)の価格は大幅に上伸し、5月末に比べ100-170ドル高となった。

ロシア産フェロシリコンは、僅かだが日本向けの在庫があり、8月積みの成約価格は前回(8月積み)から200-220ドル高になっている。

マレーシアでのフェロシリコン生産は、OMサラワクの操業停止が長引いているため、大幅な供給減少となっている。同工場の操業再開時期については目処が立っていない。そのためオファー止めをしている。もう1社のフェロシリコン生産者であるパータマ・フェロアロイズも長期契約向けの出荷が中心でスポット物のオファーは無かった。

◇シリコマンガン=中国向けマンガン鉱石については、5月末にSouth32が7月積みを値上げ。次いでエラメットコミログと南アフリカのTshipiも6月上旬に相次いで値上げした。(1)中国国内の港頭在庫量が減少傾向にあること、(2)シリコマンガン価格の上伸、(3)輸入マンガン鉱石の小売価格上伸、(4)世界的な鉄鋼生産の回復に伴うマンガン消費の増加――などが追い風になった。

中国国内のシリコンマンガン価格は6月に入って急速に上伸したが、第2週目に入って上伸が止まり、6月中旬にはジリ安に転じた。市場関係者は価格の反落理由として、(1)鉄鋼ミルのフェロシリコン消費増加により、需要の一部がフェロマンガンにシフトしたこと、(2)投機筋の先物買いが一巡し、利益確定売りも出始めたこと、(3)”中国政府が7月1日から鋼材輸出税を実施する”との噂で副原料の購入意欲が弱まったこと、(4)インドが5月末にロックダウンを解除したため、インド産シリコマンガンの供給回復が予想されたこと、(5)主産地である内蒙古自治区の減産が予想よりも少なかったこと――などを挙げている。足下で内蒙古産の6517品はトン当たり7,300-7,500元と、5月末に比べ400-500元高であり、ピーク時(6月9日)に比べ100-200元安となっている。日本向けに複数の成約がありCIF日本ではインド品よりやや高値となっているものの、成約から納品までの期間が短いことや、船積みの確実性などから取扱量も増えている。

インドではCOVID-19感染爆発に伴う首都のロックダウンを先月末に解除した。合金鉄生産も今後の回復が期待されるが、シリコマンガンについては、(1)マレーシアの減産、(2)マンガン鉱石の値上がり、(3)生産者の強気オファー――などから価格は大きく上伸している。

マレーシア産のシリコマンガンについては、OMサラワクとパータマ・フェロアロイズが生産しているが、OMサラワクが5月28日から生産活動を一時休止し、出荷も遅延を発表している。操業再開の目処についてはマレーシア当局からの指示がまだ無く、長期化の予想が強くなっている。パータマ・フェロアロイズでは、より高値で売れる米国向け出荷に力を入れており、日本向けにオファーは無かった。

日本国内の需要は堅調だが供給のタイト感が浸透しつつあり、一部の鉄鋼ミルがマレーシア品の代わりに中国品を買い求める動きも見られる。生産国での値上がりやマレーシア品の不足を受けて価格は大きく上伸しており、足下の成約価格は5月末に比べ170ドル高になっている。

◇高炭素フェロクロム(チャージ・クロム含む)=7-9月期の長期契約交渉は先週末に始まった様子だ。市場関係者の間では、(1)これまでの中国向け価格を基準にすれば値下げ、(2)冬季に入る南アフリカの生産コストを基準にすれば値上げ、(3)欧米の旺盛な需要を基準にすれば価格据え置き――と意見が分かれており、交渉は難航しそうな気配が有る。日本向け高炭素フェロクロムのスポット物は依然として取引の無い状態が続いている。

中国国内の高炭素フェロクロム価格は5月下旬に一時上向いた後、値を戻して下げ止まっていた。しかし6月第2週になって急速に上伸し、5月末に比べトン当たり300元高となっている。先週、主産地である内蒙古自治区で複数の産地が電力使用制限を超えていたことが報じられると、ペナルティによる生産制限とそれに伴う価格上伸を期待した先物買いが集中したためだ。

◇低炭素フェロクロム=日本国内の需要は堅調な一方、現物は依然としてタイト感が強く、価格も大きく上伸した。中国が5月1日から低炭素フェロクロムの輸出税を20%に引き上げたことや、韓国と台湾での需要増加などもあって、足下で日本向けの価格はポンド当たり257-265セントと、5月末に比べ2-8セント高になっている。上下の価格差は広がっているが、安値品は日を置かず払底する見通しで、上値の方へ集約する流れとなっている。7-9月期分の長期契約についてはまだ交渉が始まっていない。

中国国内の低炭素フェロクロム価格は5月後半に大きく上伸したが、足下では頭打ちとなった。5月末に比べてほぼ横ばいとなっている。輸出税が引き上げられたことで輸出向けの需要減退が危惧されたものの、アシア圏と欧米の需要が強く、中国品への引き合いも多かった様子だ。

◇モリブデン=LMEのモリブデン価格(Platts)は6月に入って急速に上伸した。6月14日の1ヵ月先物は17.67ドル/lbと5月末に比べ33.7%高、3ヵ月先物は18.85ドル/lbで同36.1%高になっている。

欧州市場の現物価格も6月初頭から再び騰勢を強めており、足下では酸化モリブデンの価格が5月末に比べ34.8-37.3%上伸した状態になっている。銅価格の上伸により、兼業鉱山の多くが銅生産に注力、モリブデンの生産量が減少しているのに対して、欧米での鉄鋼生産回復で需要が増加し、価格は騰勢を強めている。

中国国内のフェロモリブデン価格も続伸している。足下の価格は5月末に比べ14.8-16.0%上伸した状態となっている。

◇フェロバナジウム=中国国内のフェロバナジウム価格は5月下旬から6月中旬までジリ高が続いた。足下の価格は5月末に比べ3.9-7.2%上伸した状態にある。中国国内では6月の鉄鋼生産が単月ベースで過去最多となる見通しで、副原料の価格が大きく上伸している。その一方、政府が鋼材価格の抑制に乗り出し、投機向け融資の引き締めや、売り惜しみの是正などを行った結果、今週になって普通鋼の価格は反落。副原料の価格も一部で落ち着きを取り戻しつつある様子だ。

欧州市場のフェロバナジウム価格は5月の後半から末にかけて急速な上伸を続けたが、6月に入ってやや減速した。足下の価格は5月末に比べ4.4%上伸した状態にある。欧州の鉄鋼生産は好調だが、夏場の減産期を控えて需要家の買い意欲が低下しつつあると見る市場関係者も居る。

日本国内でも鉄鋼ミルの生産は堅調でフェロバナジウムの消費量は底堅い。海外で価格の上伸が続いていることもあって、足下の価格は5月末に比べ0.20ドル前後上伸している。

◇金属マンガン=中国の電解金属マンガン価格は5月後半から上向き、6月前半も散発的な上伸が続いている。足下で主産地の価格はトン当たり16,500-16,700元と3月末の価格水準まで近付いている。市場関係者はこの価格続伸の理由として、(1)輸入マンガン鉱石が値上がりしていること、(2)金属マンガン生産者達の生産調整が継続していること、(3)大手生産者達の合弁企業による買い支え、(4)雨季が遅れており、割安な豊水期電力料金の適用がまだ始まっていないこと――などを挙げている。輸出向け価格(FOB)は生産者による価格決定力が更に強く、足下で2,620-2,640ドルとなっている。

日本国内でも中国国内の値上がり影響が波及し、足下の成約価格は5月末に比べ170-200ドル高となっている。
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( T.斉藤 )
last modified : Fri 02 Jul, 2021 [12:02]
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