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◇2021年6月30日の合金鉄輸入市況動向
=需要家の購入意欲が強く、合金鉄価格は全体的に上伸
中国では7月以降に合金鉄の輸出税引き上げが、ロシアでは8月に輸出税の賦課が検討され、両国とも輸出への敷居を高くすることで国内資源の囲い込みを強めている。一方、マレーシアでは合金鉄生産者2社の供給減少について未だ回復の予定が明らかになっていないなど、今後の合金鉄市場はタイト感が慢性化する可能性もある。生産者の一部は需要家に対し、調達を年間規模の長期契約に切り替えるよう働きかける動きも見られ、合金鉄市場は安定供給を軸とする変化の時期に近付いたのかもしれない。

2021年6月30日の合金鉄の輸入市況動向は以下の通り。

◇金属シリコン=中国国内の金属シリコン価格は5月下旬に一旦上げ止まり、6月に入ってグレードごとに動向が分かれたものの、下旬にはすべてのグレードが値上がりした。足下で553グレードの価格は5月末に比べトン当たり200元高、441と3303グレードは同400元高、2202グレードは同300元高となっている。中国南方地域でアルミ二次合金の生産回復が生じ、アルミ屑や低品位金属シリコンの価格は短期間のうちに上伸した。

日本国内のアルミ需要はやや減速しつつある。5月は半導体不足による自動車生産の一時停止などもあり、アルミ二次合金は生産も出荷も前月比15%減少した。夏場の減産期を前に需要家の調達もやや低調となっているが、中国国内の価格上伸に押し上げられ、553グレードの成約価格は5月末(6-7月積み)に比べ10-20ドル高まで回復している。

◇フェロシリコン=マレーシアのOMサラワクは未だ操業再開の目処が立っていない様子だ。サマラジュ工業パークではCOVID-19ワクチンの接種が開始されたと聞くが、中国製ワクチンであり、高い効果を期待できないのが実情だ。

中国国内では先週、中国の鉄鋼ミルによる6月分の入札が本格化したことに加え、寧夏自治区(国内生産2位)で石嘴山市と中衛市が相次いで操業制限を発表したため、市場のタイト感が一気に強まった。また、内蒙古自治区の複数の都市で消費電力の制限超過が報告され、生産制限の強化が予想されている。そのため、フェロシリコンは硅素75%品も72%品も価格が大幅に上伸した。しかし、先週末に中国政府が投機向け融資の制限を行ったことで、先物買いが沈静化。一部では利益確定売りも発生して小幅に反落した様子だ。

中国国内のフェロシリコン価格は落ち着きを取り戻した。硅素72%品も75%品も6月中旬から大きな値動きを見せていない。大手生産者の供給に過不足が無く、生産を制限する新しい不安材料も特に無い。今週末からは中国の鉄鋼ミルによる7月分の入札も始まるが、生産者の多くも市場価格より高い価格を期待していない様子だ。中国市場の一部では”7月1日に合金鉄の輸出税率が引き上げられる”との噂がある。これについて税関関係者や市場関係者の多くが7月1日の実施を否定するものの、”将来的に税率が引き上げられる可能性はある”との認識が強い。

一方、輸出向けについては一部のトレーダーが価格の引き上げに熱心で、7月中の船積みにプレミアを付けているが、8月積みならもう少し安く成約できる状態だ。中国産のフェロシリコン(硅素75%品)の価格は、5月末に比べ180-200ドル高となった。

ロシア産フェロシリコンは、僅かだが日本向けの在庫があり、8月積みの成約価格は前回(8月積み)より0-10ドル高になっている。

マレーシアでのフェロシリコン生産は、OMサラワクの操業停止が長引いているため、大幅な供給減少となっている。6月30日現在も同工場の操業再開時期については目処が立っていないため、オファー止めをしている。もう1社のフェロシリコン生産者であるパータマ・フェロアロイズも長期契約向けの出荷が中心でスポット物のオファーは無かった。

◇シリコマンガン=中国向けマンガン鉱石については、先週エラメットコミログが8月積み鉱石を値上げで提示した。South32やTshipiの価格提示はまだだが、市場関係者は”どちらも値上げになる”と予想している。

中国国内のシリコンマンガン価格は6月に入って急速に上伸したが、第2週目に入って上伸が止まり、第3週目に反落。第4週目は下げ止まっていたが、今週になって再び上向いた。市場関係者は価格反落の理由として、5月末に雲南省や貴州省で水力発電が回復し、電炉ミルの稼働率回復が期待されたものの、電力回復が遅れる広東省に電力を回され、シリコマンガンの消費回復につながらなかったことを挙げている。足下で価格が上向いているのは、(1)輸入マンガン鉱石価格の上伸がシリコマンガン価格の底上げにつながる期待感、(2)今週、内蒙古の包頭市やフフホト市で電力制限が依然として厳しいこと、(3)主要港における輸入マンガン鉱石の在庫量が減少を続けていること――などが理由と考えられている。足下で内蒙古産の6517品はトン当たり7,400-7,500元と、5月末に比べ500元高となっている。日本向けの成約は再び見られなくなった。

インドでは依然としてCOVID-19の感染拡大が不安視されているが、社会活動の回復に伴って合金鉄生産も回復中だ。シリコマンガンについては、(1)マレーシアの減産、(2)マンガン鉱石の値上がり、(3)国内需要の回復、(4)生産者の強気オファー――などから価格は続伸している。

マレーシア産のシリコマンガンについては、OMサラワクとパータマ・フェロアロイズが生産しているが、OMサラワクが5月28日から生産活動を一時休止しており、まだ操業再開の目処はついていない。業界には”今週から再開準備に入る”との噂もあるが、会社側からの発表は無い。このため、同社のシリコマンガンについてはオファー止めが続いている。一方、パータマ・フェロアロイズでは、より高値で売れる米国向け出荷に力を入れており、日本向けにオファーは無かった。

日本は夏場の減産期を前にしているが、電炉を始め鉄鋼ミルの購入意欲は強い。インドのロックダウン解除により供給不安がやや解消されたものの、マレーシアの供給回復は不透明なまま、であり、副原料の不足で稼働率を落とすことを危惧し、購買担当者達は現物の確保を急いでいる様子だ。足下の成約価格は5月末に比べ230-240ドル高になっている。

続きは本紙「日刊 原料・鉄鋼貿易版」に掲載。
last modified : Mon 19 Jul, 2021 [16:21]
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