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◇2021年11月30日の合金鉄輸入市況動向
=おおむね下落基調、中国国内に供給過剰感
中国国内では現在、フェロシリコン、シリコマンガン、フェロクロム、フェロモリブデンといった合金鉄が連日値下がりしている。発電量の増加によって電力不足は解消に向かっているものの、中央政府や地方政府が鉄鋼業などの電力消費産業に対して来年3月末までの操業制限を指示したため、合金鉄の消費減退が色濃くなったためだ。合金鉄や金属マンガンの生産者団体は生産調整による供給減少で価格の下支えを試みる方針だが、もともと高値感が強かったため、市場関係者の多くは”短期間のうちに下げ止まらない”と見ている。この先安感に基づく買い控えが生産者やトレーダーの焦りを生み、売り急ぎによる値下がりが続いている。

一方、欧州でも経済回復の先行きが不透明なものの、鉄鋼やステンレス鋼の生産は堅調で、合金鉄の需要は底堅い。これに海上運賃の続伸が加わって、生産コストの上昇から製品の販売価格引き上げへとつながっている。欧州のステンレス鋼生産者であるアペラム社は先週、300系鋼材の12月売り販売価格をトン当たり122-187ドル引き上げると発表した。このことが2022年1-3月期の高炭素フェロクロム欧州ベンチマーク交渉にどう影響するか、市場関係者の多くが注視している。

2021年11月30日の合金鉄の輸入市況動向は以下の通り。

◇金属シリコン=中国国内の金属シリコン価格は10月後半から11月前半に下落し、中旬に下げ止まったあと、一時的な反発を見せたが、先週後半からは再び下落に転じた。足元の価格は553グレードでトン当たり26,000-26,500元(前月末比7,500-10,800元安)、441グレードは27,000-27,500元(同14,500-14,800元安)、3303グレードは31,000-31,500元(同20,500-20,800元安)、2202グレードは51,000-52,000元(同19,500-20,300元安)となっている。中国国内の火力発電量が増加した結果、一部で生産が回復。その反面、アルミ産業や太陽光パネル産業が操業規制を受けているため消費は減退し、需要家の購入意欲が弱まったためだ。また、足下では高値での売り抜けを目的に生産者の売り意欲が強く、全グレードとも値下がりしやすい状態になっている。

日本国内では依然として現物の品薄状態が続いているものの、中国国内での下げ止まりを受けて成約価格も下げ止まりつつある。足元でアルミ二次合金向けの553グレードは前月末に比べて1,800-1,900ドルの下落となった。

◇フェロシリコン=中国国内のフェロシリコン価格(現物)は、10月下旬に反落してから11月中もジリ安推移が続いている。河北省とその周辺地域の鉄鋼ミルに操業制限が出ている一方で、電力供給の回復や電力価格の引き下げ、セミコークスの値下がりが発生しており、フェロシリコンの生産が増加、需給バランスは供給過剰に転じた。年末に向けて生産者やトレーダーが売り急いだ結果、先週までは値下げの勢いが強かったが、安値売が一巡した今週は、一部で価格が持ち直す動きも見られ、特に硅素75品は下げ止まり観測も出ている。ただ、中国の鉄鋼ミルが使用する硅素72%品は下落が続いており、現状ではまだ底値が見えない状態となっている。足下で内蒙古産の硅素75%品はトン当たり10,100-10,300元と10月末に比べ7,100-7,400元安、硅素72%品は9,200-9,400元で同5,500-5,800元安になった。

日本国内では中国国内で値下がりする動きに反応して下落傾向にあり、2,200-2,300ドルが中央値となった。2,000ドルを割り込む成約はまだ見られない。

ロシアの生産者は、中国産フェロシリコンの値下がりを受けてアジア向けのオファー価格を引き下げた。製品の多くはより高額で売れる欧米市場向けに振り向けられており、アジア市場向けの数量は限定的な状態が続いている。足下の成約価格は前回(1月積み)から150-500ドル安となった。

マレーシアのOMサラワクは今回、1月積みの価格もオファー止めにした。中国品の急速な値下がりを受けて価格調整を検討している様子だ。同じサマラジュ工業パーク内のパータマ・フェロアロイズは長期契約向けの生産と出荷で手一杯としており、日本向けのスポット物についてオファーは無かった。

◇シリコマンガン=中国国内のシリコマンガン価格は10月後半に下落基調となって以降、ジリ安推移が続いている。足下で内蒙古産は8,200-8,400元と、10月末に比べ2,600-2,900元安になった。中国鉄鋼ミルの多くが11月から来年3月中旬(一部は3月末)まで操業を制限されるため原材料の購入を減らしたのに対して、(1)電力供給の回復、(2)電力価格の引き下げ、(3)セミコークスの値下げ、(4)生産者の強い売り意欲――などから供給過剰が強まった結果だ。日本向けの成約は今年6月下旬以降、見られない。

インド産のシリコマンガン価格は10月後半に入って下落に転じ、11月中もジリ安推移が続いている。(1)生産者の操業が回復していること、(2)セミコークス価格が下落したこと、(3)生産者の売り意欲が強いこと、(4)需要家が高値買いを嫌気していること――などが値下がりの要因となっている様子だ。

日本の需要家も高値買いを嫌気しており、成約価格はジリ安推移となっている。スポット物の成約価格は10月末に比べて420-450ドル安となった。

マレーシア産のシリコマンガンについては、OMサラワクとパータマ・フェロアロイズが生産している。OMサラワクは年内のスポット分についてオファー止めしており、引き合いに対しては1月積みのオファーを返し、インド産と同程度の価格で成約されている。一方、パータマ・フェロアロイズは長期契約分の生産と出荷で手一杯であり、日本向けにスポット物のオファーは無かった。

続きは本紙「日刊 原料・鉄鋼貿易版」に掲載。
last modified : Mon 20 Dec, 2021 [12:00]
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