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◇2021年12月15日の合金鉄輸入市況動向
=中国の合金鉄価格、おおむね下げ止まる
中国国内では最近になって石炭やコークス価格が再び上伸し、電力価格も高止まりしていることから操業を休止する合金鉄生産者が増加した。中国市場では合金鉄の多くで供給過剰感が解消し、価格の下げ止まりが見られる。12月末に続き春節(2022年1月31日〜2月6日)を控え、換金売りの発生による値下がりも予想されるが、需給バランスに大きな変動の見込みもなく、”小幅な値下がりにとどまる”との見方が多い。

一方、欧州市場でも自動車メーカーの減産から鋼材の買い控えが始まりつつあり、副原料である合金鉄も一部で値動きが止まっている。12月末を期限としていたロシアの合金鉄輸出税が延長されるか否か、再燃したウクライナ問題の進展など、欧州市場はロシア関連でも注目材料が多い。

2021年12月15日の合金鉄の輸入市況動向は以下の通り。

◇金属シリコン=中国国内の金属シリコン価格は11月末に再び下落を始め、12月前半はジリ安推移が続いた。足元の価格は553グレードでトン当たり20,000-20,500元(前月末比6,000元安)、441グレードは22,000-22,500元(同5,000元安)、3303グレードは23,500-24,000元(同7,500元安)、2202グレードは45,000-45,500元(同6,000-6,500元安)となっている。中国国内の火力発電量が回復し、金属シリコンの生産が一部で回復した反面、アルミ産業や太陽光パネル産業が生産制限を受けているため消費が減退し、供給の過剰感が強い。また、年末に向けて換金売りを急ぐ生産者やトレーダーも多く、全グレードとも値下がりしやすい状態が続いている。
日本国内では中国国内での値下がりを受けて成約価格もジリ安が続いている。足元でアルミ二次合金向けの553グレードは11月末に比べて100-200ドルの下落となった。

◇フェロシリコン=中国国内のフェロシリコン価格(現物)は、セミコークスの値上がりを受け、12月に入って下げ止まった感もあったが、市場関係者は硅素72%品について先安感を強く感じている。このほど河北鋼鉄が提示した12月分の購入量が例年の1/4程度だったことで、他の中国鉄鋼ミルも購入量を減らすと考えられている反面、フェロシリコンの生産はまだコスト割れしていないことから生産者が大規模な減産に踏み込んでおらず、近いうちに需給バランスが供給過剰になると予想しているためだ。また、硅素75%品も市場の動きが弱い反面、生産が堅調で供給過剰に陥る可能性が高い。この状態から年末や春節前の換金売りが発生すると、現物の市場価格が急落する懸念がある。足下で内蒙古産の硅素75%品はトン当たり10,100-10,300元、硅素72%品は9,200-9,400元で11月末に比べ横ばいだった。
日本国内では11月に中国国内で値下がりした動きが成約価格に現れ、11月末よりも下落している。まだ2,000ドルを割り込む成約は見られないが、一部の市場関係者は年内か来年1月中にはCIF日本で2,000ドル未満が出ると考えている様子だ。そのため足下では薄商いで、それが値下げ圧力ともなっている。
ロシアの生産者は、中国産フェロシリコンの値下がりを受けてアジア向けのオファー価格を引き下げた。製品の多くはより高額で売れる欧米市場向けに振り向けられており、アジア市場向けの数量は限定的な状態が続いている。足下の成約価格は前回(1月積み)から325ドル安となった。
マレーシアのOMサラワクは現在、2-3月積みの価格を提示しており、中国品よりやや高い価格で成約されている。同じサマラジュ工業パーク内のパータマ・フェロアロイズは長期契約向けの生産と出荷で手一杯としており、日本向けのスポット物についてオファーは無かった。

◇シリコマンガン=現在、中国主要港における輸入マンガン鉱石の在庫量は減少傾向にあるが、国内向けの小売価格の下落やシリコマンガン価格の続落を受け、海外マンガン鉱山の中国向けマンガン鉱石価格は軒並み下げ基調となった。月初にSouth32が1月積みを値下げで提示したことが弾みとなって、他社も追随する動きとなっている。
中国国内のシリコマンガン価格は10月後半からジリ安推移が続いている。足下で内蒙古産の6517品は7,800-8,000元と、11月末に比べ400元安になった。中国鉄鋼ミルの多くが11月から来年3月中旬(一部は3月末)まで生産制限を課せられたため、原材料の購入を減らしたのに対し、合金鉄の生産は堅調で、生産者やトレーダーの売り意欲も強いことから値下がりに歯止めがかからない状態となっている。日本向けの成約は今年6月下旬以降、見られない。
インド産のシリコマンガン価格は11月中に続き12月前半もジリ安推移が続いている。(1)生産者の操業が回復していること、(2)生産者の売り意欲が強いこと、(3)マレーシアなどライバル生産者の生産が堅調なこと――などが値下がりの要因となっている。
日本の需要家も高値買いを嫌気しており、成約価格はジリ安推移となっている。スポット物の成約価格は11月末に比べて30-50ドル安となった。
マレーシア産のシリコマンガンについては、OMサラワクとパータマ・フェロアロイズが生産している。OMサラワクは年内のスポット分についてオファー止めしており、引き合いに対しては1-2月積みをインド産よりやや高値でオファーしている。一方、パータマ・フェロアロイズは長期契約分の生産と出荷で手一杯であり、日本向けにスポット物のオファーは無かった。

◇高炭素フェロクロム(チャージ・クロム含む)=2022年1-3月期の欧州ベンチマークは12月10日に”前期比横ばい”で決着した。6日に価格交渉が始まって、短期間で決着したことについて市場関係者は、(1)海上運賃は引き続き上伸していること、(2)南アフリカの供給不安が再燃していること、(3)中国の消費減退で世界的な需要は当初予想より弱まったこと、(4)欧州自動車メーカーによる鋼材の買い控えなど今後の需要への不安が浮上したこと、(5)為替の南ア・ランド安で生産者に余裕が出たこと、(6)現在、ロシアが合金鉄に賦課している輸出税が12月末で期限を迎え、継続されない可能性もあること――などを挙げ、生産者と需要家のどちらにも不安材料があり、横ばいが妥協点として手頃だったと見ている。
日本国内のステンレス鋼生産は堅調な一方、ステンレス鋼屑などの冷鉄源は品薄で、フェロアロイの購入量は増加する予想がある。日本向け1-3月期分の価格交渉はまだ続いているが、欧州と同じく”前期比横ばい”で決着する可能性が強い。日本向けのスポット物については取引の無い状態が続いている。
中国市場のフェロクロム価格は12月に入って下げ止まった。足下の価格は11月末に比べて横ばいとなっている。中国国内のステンレス鋼生産者は、(1)中央政府と地方政府から来年3月中旬(一部は3月末)まで生産制限を受けていること、(2)青山鋼鉄インドネシアの製品のAD税が撤廃されたこと、(3)海外でのニッケル銑鉄減産による輸入量減少――など課題を抱えたまま年末を迎えるため、副原料の購入意欲が弱い様子だ。

◇低炭素フェロクロム=スポット物は現物が依然としてタイトなものの、中国産の値下がりが続いていることが影響して、日本向けの価格も下落した。日本向けのロシア産低炭素フェロクロム価格はポンド当たり344-350セントと、11月末に比べ7-8セント安になっている。
2022年1-3月期分の長期契約について、価格交渉はまだ始まっていない。12月下旬から始まる見通しだ。
中国国内では11月初頭に価格が反落して以降、12月前半もジリ安推移が続いている。足下で中国国内向けの価格は11月末に比べ6.0%前後下落した。市場関係者は価格続落の理由として、(1)特殊鋼ミルへの生産制限によって消費が減少していること、(2)主要産地である内蒙古での生産回復、(3)高値修正安による下落、(4)生産者やトレーダーの売り急ぎ――などを挙げている。

◇モリブデン=LMEのモリブデン価格(Platts)は1ヵ月先物、3ヵ月先物ともジリ安推移が続いている。12月14日時点の1ヵ月先物の価格は18.54ドル/lbと11月末に比べ2.0%安の状態にある。3ヵ月先物の価格は18.52ドル/lbで同1.2%安の状態だ。
欧州市場のフェロモリブデン価格は11月に続きジリ安推移となっている。足下でフェロモリブデンの価格は11月末に比べ0.6-0.9%安、酸化モリブデンは同1.1-1.8%安になった。だが、市場関係者は”本年6月の上伸以降、高値圏で安定している”との見方を持っている。
中国国内のフェロモリブデン価格は11月後半こそジリ安推移だったが、12月に入って反発した。足下の価格は11月末に比べ13.5%上伸している。中国の中央政府や地方政府が来年3月中旬(一部では3月末)まで鉄鋼業に生産制限をかけた結果、一般材は減産したが、高付加価値品は生産量を維持している様子で、フェロモリブデンの品薄感と相まって価格が上伸した様子だ。

◇フェロバナジウム=中国国内のフェロバナジウム価格は11月後半に上伸の動きを見せたが、12月に入って動きが止まっている。足下の価格は11月末に比べ横ばいとなった。中国鉄鋼ミルの多くが来年3月中旬(一部は月末)まで生産制限を受けているため、需要家とトレーダーの買い控えが発生している。中国国内において、フェロバナジウムの需要は電炉ミルによる棒鋼生産に影響されやすい。
欧州市場のフェロバナジウム価格は11月下旬に再び上向いたが、12月に入って上値重くなり、散発的に小幅な上下動が見られるだけとなった。一方で原料の五酸化バナジウム価格は続伸している。足下の価格は11月末に比べてフェロバナジウムが横ばい、五酸化バナジウムが4.9%高になっている。五酸化バナジウムの価格は9月下旬の水準まで回復したことになる。
日本国内のフェロバナジウム価格は中国での値上がりには影響を受けず、弱含み横ばいになった。足下の価格は11月末に比べて0-0.6%安となっている。

◇金属マンガン=中国の電解金属マンガン価格は11月中旬をピークに反落し、月末に底を打った。12月に入ると、一時的に上向く様子も見せたが、また下がり、狭い範囲で一進一退を繰り返している。足下で主産地の価格はトン当たり42,000-42,500元と、11月末に比べ横ばいとなった。輸出向け価格(FOB)は小幅に反発し、足下では6,350-6,450ドルと、11月末に比べ0-100ドル高になっている。最大手の生産者である天元マンガン業がオファー価格の引き上げに熱心だが、換金売りを急ぐ一部の中小生産者が安値売りをすることで上値は重くなっている様子だ。
日本国内では11月末で値下げの流れが一巡し、前月末よりも高値での成約が散見されている。年末と春節を控え、中国からの船積みが遅れがちになるため、日本の需要家が手持ち在庫の積み増しを行っていると考えられる。足下の成約価格は11月末に比べてほぼ横ばいだった。
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( T.斉藤 )
last modified : Tue 11 Jan, 2022 [11:58]
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