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◇2022年1月14日の合金鉄輸入市況動向
=春節前の中国は換金売り少なく、合金鉄価格は底堅い
合金鉄市場は様々な不安材料を内在しつつ年明けを迎えたが、欧州市場では電力代の上伸やCOVID-19の感染再拡大に加え、ウクライナやカザフスタンの問題が噴出し、値上げ材料として今も燻り続けている。また南アフリカのリチャーズベイやダーバンで発生している船積みの遅延も短期間での改善が難しく、その影響が今後徐々に現れる懸念もある。

一方、中国市場では春節休暇(1月31日〜2月6日)を控えた換金売りの発生を期待する需要家も多かったが、セミコークスの値上がりや輸送の遅延などで合金鉄の価格は底堅く、一部の商品は先物相場に牽引された値上がりや、休暇前の船積みなど割高な成約も見られる。ただ、COVID-19感染者の発生で天津市が半封鎖状態になったため、春節前の船積みが困難となり、割高でも成約する流れは急速に下火となった。例年なら春節明けの2月から商談は活発化するが、本年は北京冬季オリンピック(2月4-20日)とパラリンピック(3月4-13日)、全人代(3月5日から)が続くことで、河北省とその周辺地域の工業には操業制限が続く。生産と消費の減退が不透明なことから、若干の混乱が予想される。

2022年1月14日の合金鉄の輸入市況動向は以下の通り。

◇金属シリコン=中国国内の金属シリコン価格は上値重く12月後半のジリ安推移を引き継ぐ形で小幅な下落を続けた。足下では下げ一服の様子だが、中国市場は国内向けも輸出向けも春節を控えて薄商いになっており、春節明けまで大きな値動きは見られそうにない。足下の価格は553グレードでトン当たり19,200-19,500元(前月末比800-1,000元安)、441グレードは20,500-20,800元(同1,000-1,200元安)、3303グレードは21,000-21,500元(同2,500元安)、2202グレードは35,000-35,500元(同5,000元安)となっている。例年のように冬季で主産地からの陸送が遅延している一方、中国国内の需要家は春節前の購入を終えており、輸出向けの商談は春節後の出荷や船積みに移行し、その海外需要家は様子見の姿勢が強い。

日本国内では中国国内での値下がり影響から、成約価格も前回(12月末)に比べて小幅に続落した。足元でアルミ二次合金向けの553グレードは12月末に比べて100-150ドルの下落となっている。

◇フェロシリコン=中国国内のフェロシリコン価格(現物)は12月に下げ止まり、年明けの1月上旬まで値動き無く推移していた。今週に入って、(1)寧夏自治区でCOVID-19感染者発生による封鎖、(2)セミコークスの値上がり、(3)内蒙古自治区・烏蘭察布市のフェロシリコン生産者で炉の爆発事故が有ったこと――などから先物市場が急騰。スポット市場も連れ高が期待されたが、14日時点ではまだ値上がりの兆候は見られない。一部の中国鉄鋼ミルが春節前に追加の調達を行ったが、出荷を急がせる様子は見られなかった。足下で内蒙古産の硅素75%品はトン当たり10,100-10,300元、硅素72%品は9,200-9,400元と12月末に比べ横ばいだった。一方で輸出向けは、天津市でのCOVID-19感染者発生で半封鎖状態になったことで、取り引きは一気に冷え込んだ。需要家と商社の多くが春節前の船積みを諦めたためだ。

日本国内では12月にジリ安推移となったが、すぐに下げ止まり、一部では小幅な反発が見られた。海上運賃の上伸が影響したと見られている。足下では薄商いで、価格は12月末に比べ50-100ドル高になった。

ロシアの生産者は、依然として欧米向けの出荷が主体で、アジア圏向けの供給はタイトな状態が続いている。足下の成約価格は3月積みで、前回(1月積み)に比べ0-10ドル安となった。

マレーシアのOMサラワクは現在、4月積みの価格を提示しており、中国品の2月積みと同程度の価格で成約されている。同じサマラジュ工業パーク内のパータマ・フェロアロイズは長期契約向けの生産と出荷で手一杯としており、日本向けのスポット物についてオファーは無かった。

◇シリコマンガン=大手マンガン鉱山による中国向けマンガン鉱石の2月積みは軒並み値下げとなった。中国主要港における輸入マンガン鉱石の在庫量は減少基調だが、3月まで鉄鋼生産の制限が続くため、マンガン鉱石の消費が低調と考えられるためだ。一方で海外マンガン鉱山の生産は堅調で、供給の過剰感が強まりつつある。

中国国内のシリコマンガン価格は10月後半から続いたジリ安推移も12月下旬に入って下げ止まった。1月に入って市場では値上がりの気配を言いつつも先週まで値動きの気配はなかったが、今週になって先物市場で急騰し、スポット市場も徐々に値上げの気配が高まっている。足下で内蒙古産の6517品は7,800-8,000元と、12月末に比べ横ばいだったが、一部の地域では300元高の成約も見られる。日本向けの成約は今年6月下旬以降、見られない。

インド産のシリコマンガン価格は上値重い状態が続いている。欧米市場で高騰していることや海上運賃が上伸しているため、生産者のオファー価格は強気だが、一方で(1)海外主要マンガン鉱山の2月積み価格が下落したこと、(2)アジア圏の需要家が高値買いを嫌気していること、(3)ライバル生産者であるマレーシアの堅調な生産――など値下げ材料に押されて成約価格が上向かない。

日本の需要家の買値は安値品が払底しつつも、全体では小幅に値下がりしている。上値と下値の価格差も狭まった。スポット物の成約価格は12月末に比べて0-30ドル安となっている。

マレーシア産のシリコマンガンについては、OMサラワクとパータマ・フェロアロイズが生産している。OMサラワクのスポット物は4月積みがオファーされている。価格はインド産よりやや高い。一方、パータマ・フェロアロイズは長期契約分の生産と出荷で手一杯であり、日本向けにスポット物のオファーは無かった。

◇高炭素フェロクロム(チャージ・クロム含む)=南アフリカではCOVID-19の感染再拡大や、フェロクロムの主要積出港であるダーバンやリチャーズベイでの船積み遅延などが発生しており、カザフスタンでは政情不安による混乱など、フェロクロム主産地では供給不安が浮上しているが、現時点では納品が不安になるほどの大きな遅れもなく、日本国内の需要家に不安感は少ない。また、日本向けのスポット物については取引の無い状態が続いている。

中国市場のフェロクロム価格は12月下旬に入って小幅に下落した後、下げ止まった。足下の価格は12月末に比べて横ばいとなっている。中国国内のステンレス鋼生産者は多くが春節中の必要分を購入済みで、国内市場は薄商いの状態が続いている。

◇低炭素フェロクロム=海外生産者の日本向けスポット価格は、12月末に続き上伸した。中国産の値下がりが止まった一方で、(1)欧州市場で価格が高騰していること、(2)カザフスタンやトルコなどの生産国に供給不安があること、(3)本年1-3月期分のレギュラー価格が高値で決着していたこと――などが値上げ材料となっている。価格はポンド当たり365-375セントと、12月末に比べ13-18セント高となった。

中国国内では11月初頭から12月下旬までジリ安推移が続いたが、月末に下げ止まり、以降は横ばい推移が続いている。ステンレス鋼など特殊鋼も生産制限を受けているため、需要家の購入意欲が低調であり、一方でフェロクロム生産の方はセミコークスの値上がりなどが生産コストを下支えして、価格を底堅くしている。

◇モリブデン=LMEのモリブデン価格(Platts)は1ヵ月先物、3ヵ月先物とも12月中旬に底を打ち、ジリ高推移となっている。1月12日時点の1ヵ月先物の価格は18.96ドル/lbと12月末に比べ1.9%高の状態にある。3ヵ月先物の価格は18.94ドル/lbで同1.4%高の状態だ。

欧州市場のフェロモリブデン価格は12月中旬に底を打って上伸に転じた後、1月上旬はジリ高推移だったが、ここ数日で上伸の勢いを増した。足下でフェロモリブデンの価格は12月末に比べ2.3-2.8%高、酸化モリブデンは同1.3-3.5%高になった。市場関係者は、(1)ペルーやチリの供給に不安感が強いこと、(2)11日にテックリソーシズがハイランドバレー鉱山でストライキの可能性があると報告したこと、(3)海上運賃の上伸――などを理由に挙げている。

中国国内のフェロモリブデン価格は12月中旬に一時下落したが、下旬に反発した後は上伸が続いている。前述の通り、海外主産国の供給不安に加え、国内製錬業の低調な生産や輸送の遅延などが最大のモリブデン消費国である中国にとって値上げ材料となった様子だ。

◇フェロバナジウム=中国国内のフェロバナジウム価格は12月に下げ止まっていたが、年明けに再び小幅に下落した。足下の価格は12月末に比べ2.3-2.4%安となっている。中国鉄鋼ミルの多くが3月中旬(一部は3月末)まで生産制限を受けているため、需要家とトレーダーの買い控えが発生していることに加え、不動産投資の冷え込みが鉄筋棒など棒鋼消費の減退予想につながって、中国の電炉ミルは原材料購入に消極的な様子だ。

欧州市場のフェロバナジウム価格は、12月中旬に一旦下落した後はジリ高推移が続き、1月前半も小幅に上伸をしている。原料の五酸化バナジウムの価格も続伸しており、足下の価格は12月末に比べてフェロバナジウムが0.5%高、五酸化バナジウムが1.1%高となった。

日本国内のフェロバナジウム価格は欧州市場の値上がりに影響を受けて上向いた。足下の価格は12月末に比べて3.1-4.5%高となっている。

◇金属マンガン=中国の電解金属マンガン価格は年明けに反発し、短期間で大きく上伸したが、その後は上げ止まった。春節前の出荷や船積みといった特急便の成約が価格を引き上げたと見られている。一方で中国の主要生産者達は1月から3月末までの生産停止を発表しており、同業界の総日産量は連日200トンを下回る。主産地での価格はトン当たり40,500-41,000元と、12月末に比べ500元高となった。輸出向け価格(FOB)も同様に上伸して、足下では6,100-6,400ドルと、12月末に比べ100ドル高になっている。薄商いで成約件数が少ない中、前述の通り一部の需要家が高値買いした結果、大きく上伸したように見えている。天津市でCOVID-19患者が発生し、封鎖に近い状態となったこともあって、春節前の船積みは難しくなった。そのため輸出向けの高値成約も途絶えた様子だ。

日本国内では現物の不足感が強い一方で、今は積極的な購入意欲も見られず。需要家の多くは商社が確保した現物をほぼ言い値で成約するケースが多く、船積みの時期も北京オリンピック後の2月末から3月が主体だ。年明け早々は1月中の納入を条件にする引き合いも散見された様子だが今は見られない。足下の成約価格は12月末に比べて200-400ドル高となっている。
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( T.斉藤 )
last modified : Fri 04 Feb, 2022 [12:16]
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